Flow of ask

ほぼ日常に関することや愚痴を中心に、趣味などを。更新は月一がいいほうです。

ナトちゃん宅の名取さん書かせていただきました!
うろ覚えでごめんなさい><
f:id:tukimiya1208:20131111105851g:plain


私の地方では初雪を観測いたしました。ああ、とうとう冬ですかそうですか
最初は雪だ~ってなるんですけど、あとあとから見飽きてくるんですよね、雪。
冬が終わる頃には雪はねとかで死にかけるんですよ(笑)

続きはOrganization_Cataclysmの序章です。


始ノ章_人造人間






21××年、__村。



年に似つかわしくない身長の少年が、父親に連れられ__村にやってきた。
都会から随分と離れたこの__村は有害な物質を出す車や工場などもなく、自然に溢れた村であるためか、少年はいつもより明るく元気よく村の道を走り回っている。
はしゃぎ回る少年を彼の父親は優し眼差しで見つめながら、村の奥にある大きな日本家屋へと足を運ばせる。
日本家屋はとても立派な建物で昔の面影を残して佇んでいた。
初めて見る木製の日本家屋に、少年は興味津々な目でまじまじと見つめている。
父親が日本家屋の玄関を開けると少年は一目散に家に入り、家の中を走り回る。居間や寝室などのたくさんの部屋を見て回る少年は年齢に似合わない表情である。
しばらくして全ての部屋を調べた少年が、父親を探しながら来た道をもどる。しかし父の姿はない。
少年はキョロキョロと辺りを見渡すと微かだが話声が聞こえてきた。


『教授、お待ちしておりました……例のお子さんは?』
『元気に家の中ではしゃいでいるよ。全く、____は子どもっぽくてな』
『ふふ。ですが、彼は____の____になるのですから』


その声は下から聞こえているようで、少年は下へと向かう階段を探し始めた。
随分と探し回って最後に残った部屋が和室。少年は和室にある畳を剥がし始めた。すると畳の下に地下へとつながる階段があった。
少年はそのひどく暗い階段をゆっくりと降りていくと、広い地下室へとたどり着いた。
長い廊下が続く地下を、少年は壁に手を起きながら歩き続けてとある部屋に入った。
そこにはたくさんの資料と本が乱雑に置かれていた。
少年は少し顔をこわばらせながらとある本を開いた。本の中表紙には『禁忌の人造人間実験』と書かれていた。
そして、その本には禁忌実験の方法を事細かく書かれていた。


『人造、人間実験……?』


少年はふと数日前、影で父親が不自然なことを言っていたのだ。
「____のような人間を作らなければ、____のような人間な作らなければ」、と。
父親は少年の双子の兄のような人間を作ることを独り言で何度もつぶやいていたのだ。少年はそして先ほどの声を思い出す。
IQが普通の高校生よりも異常に高い少年は気づいた。
父親が自分を禁忌の実験の材料にしているのだ、と。それに気づいた少年は慌てて逃げようとして書類を引っ掛けて落としてしまう。
大きな音を立てて書類を落としてしまったため、父親とその助手の女性が来るのには時間はかからなかった。


『……____、お前、見たのか』
『見られたからには……貴方にはすぐに実験体になってもらいます』


女性が少年に手を差し伸べようとしたが、少年はその手を払いのけその場から逃げ出した。
大人の体力と高校生の体力。運動している高校生の方が大抵は体力はあるのだが、少年は病弱なためにすぐに体力の限界が近づく。
ついに少年の体力は付き、その場に座り込んだ。呼吸を整え、すぐさま走り出そうとしたとき、後ろから手が伸びて彼を捉えた。
彼を捕まえたのは先ほどの助手の女性であった。
普通の高校生ならば女性の力など屁でもないのだが、少年は普通の子より小さく、力も当然弱い。女性でも簡単に捉えられるのだ。
少年は逃げ出そうと暴れるが、女性は懐から取り出したハンカチを少年に嗅がせた。
そのハンカチには薬を塗られており、少年は半分意識が残ったまま身動きが取れなくなってしまった。
女性はその少年を抱えて、薄暗い実験室の中心にあるベットに寝かせた。


『____、____の準備をしてくれ』
『はい、分かりました』


父親は助手の女性に何かを頼み、女性をその場から遠ざけた。
少年は目線だけと父親に向けると父親はとても気持ち悪い卑しい笑みを浮かべていた。
その笑みに驚いて少年は呻く。すると父親は少年の頭を撫でた。


『____、安心しろ。お前を____のようにしてやる。お前の兄より、もっと美しく、もっと強く、もっと丈夫な人間にしてやる』


少年の視界は父親の手で塞がれ、そのまま意識を失った。
















25××年、不知火家の地下研究所跡。



ゴポゴポッと水音が響く研究所の水槽の中に入れられた「初号人間」と記された少年が眠っていた。
体中にチューブが繋がれ、左半身は機械化、腕はまるで人形の腕と化していた。
もう研究所として機能していないその場所に少年は、すでに数百年間も眠り続けているのだ。
すると急に彼の水槽に繋がれた機械たちが光り出し誤作動が起こり始めた。
誤作動により水槽の中の水が抜かれ、水が完全に抜かれると水槽にヒビが入り、パリンッと音を立てて割れた。
水槽のガラスが割れたことにより少年の体は地面に叩きつけられる形になった。少年は朦朧とした意識の中目を覚まし、ゆっくりとした動作で起き上がる。
誰もいないもはや廃墟さながらのその研究所を少年は見渡すが、彼にはなぜ自分がここにいるのかわからなかった。
それだけではない。自分がどこの誰で、今まで何そしていて、などの記憶をも無くしていた。
声を出そうとしても長年声を出していなかったために、上手く発声できず、少年は座り込んでいた。
しばらくその体制でいて、少年は服を探し始めた。いくら誰もいないからといって全裸のままでいるのはさすがに嫌だったのだ。
左にあるドアを開けると、そこには大人用の服が乱雑に放置されていた。
少年には大きすぎるのだが、何も着ないよりはマシだろうと彼は思い、その服を着た。
案の定袖は長すぎるし、まるでワンピースを着ているような感覚であった。


(……ズボンがない……。どうしよう、外に誰かいるのかな……)


少年は不安を募らせながら出口を探す。
しかし、ここは地下。外に行くには上に行く階段を見つけるしか方法はない。
数分後に運良く階段を見つけた。その間に実験体になった被験者たちの屍がたくさん放置され、ほぼ白骨化していた。
少年は階段を登るが、なぜか蓋がされてあるかのように天井が存在していた。
一時困ったが、少年はダメもとで天井を持ち上げるとあっけなく天井は外れた。
キョロキョロとあたりを警戒しながら彼は階段を上りきり、天井だった畳を元の位置に戻して少年は襖を開ける。
長い廊下が有り、廊下の奥には裏庭とおもしき開けた場所が見える。
よく目を凝らすと裏庭に誰かがいる。オレンジ色の髪の子が二人。一人は髪の色素が薄い男の子のようだ。


(誰かいる……誰だろ、でも、怖い人だったらどうしよう……)


少年がオレンジ色の髪の子たちに近づこうか迷っていると先に彼らが気づいた。
だんだん自分に近づいてくると気づいて少年は、襖を占めて隠れる場所を探し、和室にある押入れに隠れた。
隠れたと同時に襖が開かれる音。バタバタと走る足音。
すると声が聞こえてきた。女の子と男の子の声だ。
「あれ?たしかこの部屋よね?」「うん、和室の襖だったし……どこ行ったのかな」
少年はその声で理解した。声の主たちは自分を探しているんだと。
このまま出て行ってもいいのだがもし彼女たちが悪い子達だったら自分はどうなるのだろうか。殺されてしまうのだろうか。
そんなことを考えていると、彼が隠れている押し入れの襖が開けられた。
少年を見つめる四つの青い瞳。濃いオレンジ色の髪の女の子と薄いオレンジ色髪の男の子。


「あ、居た」
「こんなところに隠れてたの。ねえ君、なんでここにいるの?」
「レイ。この子、怖がってるみたい」


女の子が少年に問い詰めようとして男の子に止められた。
確かに少年はガタガタと微かに震えている。それに気づき、女の子は少年の頭を撫でる。
少しなで続けていると少年の震えは止まった。
そして少年が声が出せないのだと二人が気づくと、二人は少年を抱きかかえて居間へと向かった。
今には青いニット帽を被り、口が糸で縫われている青年がキッチンに立っていた。
二人のドタバタに青年は少々お怒り気味のようで、蛇目で睨んできた。その睨みで少年がまた震え始めてしまったが。


「レイ、レオ。あれほど走り回るなって言ってるだろ!」
「ごめん凌央兄!それより大変、この子、和室にいたんだけど、声が出ないみたいなんだよ!」


男の子が少年のことを説明すると、青年は驚き少年に近づいた。
さきほどの睨みで少年は完全に怯えてしまっている。青年は少年を優しく抱きしめた。
するとすぐに少年の震えは止まり、青年は二人に和室にいてくれと言った。
二人が行ったのを確認すると青年は頭をガシガシをなで始めた。


「お前起きれたんだな。よかったわ」
「…………ぁ、う……?」
「嗚呼、喋れないんだっけ?悪いな、俺はアレクサンダー凌央だ」
「……り、ょー……?」
「おう。お前、名前分かるか?」


少年はすぐに首を横に振った。
青年【アレクサンダー凌央】は少し悲しそうな顔をして、いろんなことを話した。
まず少年の名前。凌央は資料しかなかったようで彼の本名はわからなかったが少年の名前が「AF(アクター)」というらしい。
そして少年【AF】の過去。AFの身に何があったのかを、少年に教えた。
まずAFは500年前から始まった禁忌実験の一番最初の被検体であり、500年間眠り続けていた。
彼の父、つまり禁忌実験を始めた教授はもう亡くなっており、AFの家族は双子の兄しかいないのだが双子の兄は500年前から行方不明。
そして彼の左目の輝石という石について。


「……流石にいっぺんに言うと訳わかんないか」
「……だい、じょ、ぶ……記憶、ない、けど」


だんだん話せるようになってきたAFに凌央は安心したように笑い、彼を連れ和室に来た。
和室では先ほどの二人が待ってましたと顔を輝かせる。
凌央は二人に何かを話すと、二人は頷いてAFに向かって自己紹介する。
まず女の子の方は双子の姉である葉栗レイ。男の子の方は双子の弟である葉栗レオ。
二人も輝石が体にあり、仲良くしようねとAFの手を握る。


「お前ら、話してると置いてくぞ」


いつの間にか凌央は畳を剥がし、地下への階段を降りていた。レイとレオはAFを引っ張って凌央の跡を追いかける。
薄暗いボロボロな廊下を進み、大きな空間に出た。その空間はAFが目覚めた場所であった。
凌央はその実験室にある分厚いファイルを持ってきて三人に見せる。
ここで何が行われていたのかや禁忌実験のことを事細かく書かれており中にはAFの実験結果などが書かれていた。
それをみて葉栗姉弟は拳を作り、AFはどこか悲しそうな辛そうな表情になった。
凌央はAFを慰めるように撫で葉栗姉弟に落ち着けと諭す。


「許せない……!AFをこんな目に遭わせるなんて!」
「禁忌実験……!これだから大人が作る世界は嫌いだ!」
「落ち着けよお前ら。……とりあえず、家に戻るぞ。ここは埃っぽいからな」


凌央の指示で全員は家に戻った。
四人は客室で、これからのことを考えていた。
とりあえずAFは凌央の家で一緒に暮らすことはもう決定事項なので、決めなきゃいけないのはもうひとつのこと。
レイは自分が団長である【世界革命団】について話しだした。
要約すれば、世界革命を起こし馬鹿な大人たちを改心させて世界のルール(悪行)を変えさせるのが目的の団体らしい。
説明し終わるとレイはニコッと笑って、AFにこう言った。




「AF、世界革命団に入らない?」








next→入ノ章_世界革命団